胃癌は、最近になってきて、ピロリ菌感染が原因と認知され、治療も進むようになってきましたが、まだまだ日本においては怖い疾患の一つです。2018年の日本の調査では、 日本の胃癌の全癌における死亡率のランキングでは、男性では2位、女性では4位となっています。しかし、胃癌は早期発見できれば、治療をして治すことができる代表的ながんの一種なのです。胃癌は多くはヘリコバクターピロリ菌感染が原因とされており、駆除をすることで胃癌に発展する確率を下げることができます。(詳しくはヘリコバクター・ピロリ菌についてのページをご確認ください)。その他にも、飲酒や喫煙、過度な塩分摂取などもリスクとしてわかっています。大事なのは「初期の胃癌で見つかれば、高い確率で治癒することができるのに、初期の頃には症状がないこと」です。胃は、胃の内側から粘膜 → 粘膜下層 → 筋層 → 漿膜の順番に成り立っていますが、胃癌は粘膜から発生して、徐々に深くに染み込んでいくように大きくなります。がんを根治、つまり切除してしまって再発がしないようにできるためには、転移(他の臓器にがんの細胞が移らない)状態で治療する必要があります。これは粘膜もしくは粘膜下層までにとどまっている早期胃癌の状態で癌を発見する必要がありますが、この状態で腹痛などの症状があることはほとんどありません。症状が進んでくると、みぞおちの痛み(上腹部痛)や、食欲不振、血便(黒色便)などの症状から胃カメラをすることで発見されるようになってきます。ですが、このような症状が出てくる多くの場合は、筋層近くまでがんの細胞が浸潤していることが多く治療の外科的治療が必要になり、体への負担が大きくなります。胃カメラで検査をした時に、癌を疑う怪しい病変があった場合に、組織検査(生検)を行い、病理検査(顕微鏡の検査)に提出して、がんの細胞が見つかって、がんの診断になります。その後のがんの細かいステージを決定するには、造影剤を使ったCTの検査が必要になってきます。もちろん、検査へのご不安もあるかと思いますが、当院では鎮静剤を使用することで、苦痛の少ない内視鏡検査をご提供しております。ご家族様に胃癌で亡くなられた方がいる方、実家が井戸水で生活していた方、ご両親がピロリ菌に感染していた方などは、できれば30歳までに一度胃カメラでチェックしておくことをお勧めします。