健康診断や人間ドックなどの腹部超音波検査で、膵管拡張と言われたことがある方はいらっしゃいますでしょうか。なんのことかわからず様子を見ている方もいるかと思いますので、ここでは膵臓の成り立ちから含めて解説したいと思います。膵臓とは、胃の次にある十二指腸と繋がっている臓器です。胃の裏にある横に長い臓器で、膵液というタンパク質や脂質を消化するための消化酵素を作ったり、インスリンといった血糖値を下げるホルモンを作ったりしています。膵臓の中には、膵管という管が通っており、その周りを取り囲むように膵臓が形成されています。膵臓の細胞で作られた膵液は、膵管に流されて十二指腸で脂肪やタンパク質を分解します。この膵管が太くなっている、という場合に可能性としてあるのは1.膵液の量が増えている2.膵管が狭くなっていて膵液の流れが悪いのどちらかになります。1の可能性としては、膵臓のポリープと呼ぶべき、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)や、膵嚢胞性腫瘍(MCN)といった粘液を産生するような腫瘍ができている可能性があります。これらの粘液を産生する疾患は、将来的にがんになってくるリスクを秘めているため、現在どのような状況であるかの精査が必要になります。2の可能性としては、悪性の疾患としては、膵がん、良性としては、多量の飲酒が原因でできた慢性膵炎などが可能性としてあげられます。慢性膵炎も膵がんのリスクとなる病気のため、気を付ける必要があります。膵管拡張を指摘された場合には腹部超音波検査、超音波内視鏡検査、MRI検査など適切な検査で現在の状態を判断することが必要になります。膵がんは飲酒や糖尿病のほか、乳がんや卵巣がん、膵がんの患者様が血液のご家族にいる場合にもリスクになることが知られています。指摘された場合には早期の病院への受診をお勧めします。