感染性腸炎とは、かなり難しく感じる言葉かと思いますが、すごく簡単に言えば「何かにあたった腸炎」ということになります。「何かにあたる」時には、その原因にいくつか可能性があります。細菌性これは鶏肉や豚肉などから感染を起こすことが多く、サルモネラ、大腸菌、カンピロバクターなどが原因で起こることが多いです。ウイルス性有名な牡蠣によるノロウイルスや、他ロタウイルスなどが主な原因でなります。寄生虫アニサキスやジアルジア、サナダムシなどの寄生虫が原因で起こることもあります。細菌性腸炎の場合には、症状がひどい場合や、感染が疑われる細菌に対して、抗菌薬治療を行う必要があります。細菌性でもウイルス性でも、結局大事なのは補液(水分管理)になります。また、特にノロウイルスは気をつける必要がありますが、感染性腸炎は病原体を経口摂取(口から食べる)ことでなることが多いので、症状がある人の吐物や糞便の取り扱いには注意を払う必要があります。症状は、感染するものによって様々ですが代表的なものでは下痢嘔吐発熱腹痛などがあります。細菌性腸炎の方が、ウイルス性腸炎に比較して症状が重くなる場合が多く、血便が出てくる場合があるため、血便を伴って熱発・下痢がある場合は早期の病院への受診が推奨されます。感染性腸炎の場合は、多くのもので1週間をめどに症状が改善してくる場合がほとんどです。1週間経過しても症状が改善しない場合には、そのほかの疾患が隠れている場合があります。悪性腫瘍(大腸がん)なども可能性はありますが、近年は感染後過敏性腸症候群(感染後IBS)と言われるものもあります。IBSはストレスなどを景気にして腹痛・下痢や便秘などを引き起こす疾患ですが、感染性腸炎罹患後に、10%の人がIBSに移行すると言われています。感染後IBSはもともとIBSにかかっていた人がなりやすい病気であり、IBSの既往がある人は注意が必要です。IBSも、大腸がんも診断には大腸カメラ検査が必要になります。下痢症状が1週間以上改善しない場合には、大腸カメラの検査をお勧めします。