「よく脂肪肝が怖いって言われるけど、特に症状もないしなぁ」という方も多いのではないでしょうか。脂肪肝は過栄養や運動不足、肥満傾向のため、近年その数を増やしてきている、実は怖い病気なのです。脂肪肝は、その別の名前は脂肪肝炎とも言われ、炎症を起こしている状態になります。肝臓は障害を受けると、肝細胞が炎症で破壊される「肝炎」の状態になります。これが、慢性的に継続していくと、長期的な経過から肝臓が固くなっていく「肝硬変」になります。肝臓が一度硬くなってしまうと元の柔らかい肝臓に戻ることは、どんなに頑張っても現代の医療では難しいとされています。さらにこの肝硬変の状態は「肝細胞癌」を発症すると言われています。脂肪肝の原因は大きく大別すると1.アルコール性脂肪肝 (肝障害)2.非アルコール性脂肪肝になります。アルコール性脂肪肝 (肝障害)アルコール性脂肪肝は、以前から指摘されていたもので、具体的には男性で一日 60g以上、女性で40gアルコール摂取がリスクと言われています。アルコール性脂肪肝(肝炎)の場合、肝機能の改善には禁酒してもすぐに良くなるものではなく、時間がかかり、これらの指標の半減期は2-3週間とされています。例えば200から100までが2−3週間で、さらに半分の50になるのにまた2−3週間かかります。ですので、もともとの値にもよりますが、3ヶ月程度禁酒すればほぼ正常値に戻る方が多い印象です。種類量アルコール換算量ビール(中瓶1本)500ml20g日本酒1合 180ml22g焼酎1合 180ml50gワイン(1杯)120ml12gウイスキーダブル60ml20gブランデーダブル60ml20g非アルコール性脂肪肝非アルコール性脂肪肝は以前はNASH / NAFLDと呼ばれていましたが、近年は脂肪肝に加え、肥満、耐糖能異常(糖尿病)、高血圧、高中性脂肪血症、低HDL血症のいずれかを併発している疾患として代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD:マッスルド/マッスルディー)と呼ばれるようになりました。MASLDの方で、5-10年の間に約 10-20%の方が肝硬変に移行すると言われています。非アルコール性脂肪肝では、アルコール性脂肪肝のように禁酒をすればいいわけではないので、食事の制限と減量が主な治療になってきます。多くの場合、脂質異常症や、糖尿病も併発していることが多いため、並行して内服治療のでのコントロールを行うことが必要になってきます。アルコール性脂肪肝では、禁酒により肝機能が改善されることが多いですが、非アルコール性脂肪肝では、生活習慣の改善が必要です。食事制限と適度な運動が肝臓の健康を取り戻すために推奨されます。また、糖尿病や脂質異常症が併発している場合は、これらの病状も同時に管理する必要があります。この病気は進行性であるため、早期の診断と適切な管理が重要です。定期的な医療チェックと健康的な生活習慣が、脂肪肝の進行を遅らせ、将来的な重篤な合併症のリスクを減少させる鍵となります。