健康診断で「肝臓の数値が高いです」と言われた方、多いのではないでしょうか。今回は肝臓の数値について解説したいと思います。肝臓の数値は、いくつか種類があります。代表的なものでは、ビリルビン(T-Bil / D-Bil)、AST、ALT、ALP、γ-GTPなどがあります。このような種類の数値が上昇することを「肝機能障害」と呼びます。肝機能障害には大別すると2種類の原因があります。肝臓から出てくる胆汁がうまく出せなかったり、胆汁の通り道(胆道)が狭かったりする(胆汁うっ滞型)肝臓そのものがおかしい(肝細胞障害型)があります。胆汁うっ滞型では、例えば胆道に胆石ができているために流れが悪かったり、また腫瘍ができているために狭くなっている場合などの可能性があります。このような異常を確認するためには、腹部超音波検査で、胆道が広がっていないかなどを確認する検査が必要になります。また、肝細胞障害型は、肝炎ウイルスに感染していたり、薬による影響で肝臓の数値が上がっていたり、脂肪肝やアルコール性肝炎で数値が上がっている場合があります。これを調べるためには、血液検査でより精密な検査をする必要があります。肝機能が高いからといって、必ず異常があるわけでもありません。単純にかぜを引いたりするタイミングでも、肝臓の数値が悪くなることはあるので、過度な心配をする必要はありません。しかし、肝臓は昔から「沈黙の臓器」と呼ばれていて、初期には全く症状が出ません。慢性肝炎を放置していると、いつの間にか肝硬変になっていて、もう元には戻らない状況になってる場合も散見します。大きな病気をされた事がなく、ご自身で健康と考えられている方の20%以上に健康診断で肝機能障害(肝機能異常)が認められるとの報告があります。また、最近疲れやすい、身体がむくむ、食欲低下や微熱があるなどの症状があれば一度血液検査で確認をしてみてはいかがでしょうか。もし肝機能障害(肝機能異常)があれば当院でも腹部超音波検査を施行し、肝臓、胆のう、膵臓の状態を確認させていただきます。当院の腹部超音波検査は、必ず私か消化器病専門医が担当し、医師の目で確認させていただいております。健康診断で肝機能障害(肝機能異常)を指摘された方や、上記の自覚症状やその他心配事があるかたはお気軽にご相談ください。