1. 便潜血陽性と言われたら便潜血検査は大腸がんの検査として健康診断などで行われています。採取した便に試薬を混ぜて、便の中の微量の血液が含まれていないかを調べています。
しかし、便潜血検査が陽性であったのにも関わらず、「便に血は混じってないから、大丈夫」などと、適切な精密検査を行わずにそのまま放置をしてしまう方がいらっしゃいます。
肛門から血液が流れ出たり、真っ赤な便が出れば、だれしもが心配になると思いますが、この便潜血検査では目に見えない極微量の血液を検出します。見た目に異常がないために、ご自身に都合の良い解釈をしてしまい、精密検査の機会を逃してしまうかたが多く見受けられます。
2. 便潜血陽性だと、どのような病気が考えられるのか便潜血検査が陽性ということは大腸からの出血を意味します。これは、のちのち悪化する可能性のある大腸ポリープや大腸がんを疑うサインの一つです。
大腸がん検診としての便潜血検査は、企業の検診や人間ドックなどで広く行われています。対象の年齢は40歳以上が一般的ですが、その理由は、大腸がん死亡率が男女とも40歳から増加し始め、50歳から急増してくるためです。大腸がんの約30%以上の方が、便潜血検査をきっかけに発見され、そのうち70%が早期がんと言われています。
3. 「便潜血陽性」だと必ず「がん」なの?便潜血検査でわかるのは、便の中に血液が含まれているかどうかです。そのため、大腸がんや、がんになる前の大腸ポリープがなくても、痔や腸の炎症などで陽性になることがあります。つまり「便潜血陽性=大腸がん」ではありません。便潜血検査陽性の方に大腸カメラ検査をした場合、50%の方にポリープ、6%の方に早期癌、4%の方に進行癌が発見されます。約40%の方は異常がなく、その多くは痔であることがほとんどです。
しかし、「便潜血が陰性=大腸がんではない」ではありません。残念ながらすべての大腸がんがこの検査で陽性になるわけではないのです。毎年、便潜血検査を継続した方が大腸がん死亡率が減少することが証明されています。40歳以上で一度も大腸内視鏡検査を受けたことがない方、下痢・お腹の違和感などがある方などは、便潜血が陰性であったとしても大腸内視鏡検査をお勧めします。
4. 便潜血陽性の時には何をしたらいいの?
便潜血陽性の時には、必ず大腸カメラ検査を受けてください。大腸がんは早期に発見することで、根治することができる可能性が非常に高いがんです。早期の大腸がんや、多くの大腸ポリープは、大腸カメラ検査の時に内視鏡で切除して治療をすることができます。
また、進行大腸がんが発見されたとしても、外科的に切除することができれば、抗がん剤治療と合わせて根治を目指すことができます。
しかし、未だに日本のがん死亡数のランキングでは、男女ともにTOP3の中に大腸がんが入っています。便潜血検査で陽性になった方は、がんを見つけるチャンスをもらったようなものです。必ず大腸内視鏡検査を行い、早期発見につなげていきましょう。