松戸常盤平おなかと胃・大腸カメラと内科のクリニック|消化器内科 内科

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萎縮性胃炎(ヘリコバクター・ピロリ菌感染症)

検診のバリウム検査や、胃カメラで「慢性胃炎」「萎縮性胃炎」と言われたことはないでしょうか。
検診のバリウム検査や、胃カメラ
ヘリコバクター・ピロリが胃に感染すると胃の粘膜が萎縮し、萎縮性胃炎を起こします。感染が長く続くと、胃粘膜の感染部位は広がっていき、最終的には胃粘膜全体に広がり慢性胃炎となります。また胃潰瘍、十二指腸潰瘍などその他の胃の疾患に移行することもある警戒すべき病気です。バリウム検査では、胃の粘膜の状態までは確認することができないため、多くの場合は「慢性胃炎」という記載になります。
萎縮性胃炎ってなに?

萎縮性胃炎は胃酸を分泌する組織が減少し、胃の粘膜が「萎縮」した状態になる病気です。
慢性胃炎が長期間にわたって継続すると発展して起こります。萎縮した胃粘膜は食べ物を消化する機能が低下するため、時に食欲不振や胃もたれといった症状が出現します。

胃には、強い酸(胃酸)があって、通常の細菌は生息できませんが、ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を使って、胃酸を中和しアルカリ性の環境にして胃の中で生存しています。ピロリ菌の感染経路はまだはっきり、わかっていませんが、5歳以下の幼少期に口を介した感染(経口感染)が大部分であろうと考えられています。家庭内感染や、ピロリ菌が生息している井戸水などを摂取することが原因と言われています。

また、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の発症ならびに再発はこのピロリ菌感染に関係していることもわかっており、潰瘍の患者さんのピロリ菌感染に関係していることもわかっており、潰瘍の患者さんのピロリ菌感染率は80~90%と非常に高値です。


慢性胃炎・萎縮性胃炎の症状

胃もたれや吐き気、空腹時の胃痛、食後の腹痛、食欲不振、胃の不快感などは、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの典型的な症状です。こうした症状を繰り返し起こす場合には、ピロリ菌感染が原因となっている場合が多く認められます。

こうした症状はピロリ菌の除菌治療に成功することで再発を抑えることができます。慢性胃炎や胃潰瘍で胃粘膜の萎縮が進むと胃がんリスクが上昇するとされているため、慢性的に炎症や潰瘍を起こしやすくするピロリ菌を早めに除菌することは将来の健康に大きく役立ちます。
同様の症状は、機能性ディスペプシアなどのストレスを原因とするような消化器疾患でも認めることがありますが、まずはピロリ菌の感染を調べてみることから始めてみるのが良いでしょう。

ピロリ菌の診断方法

ピロリ菌の検査の方法にはいくつか方法がありますが、現在多く行われている検査は

抗体検査 (血液検査)
尿素呼気試験
の2種類になります。

・抗体測定検査
ピロリ菌に感染すると、その菌に対する抗体が体内に作られます。血液や尿に存在するこの抗体を測定して診断します。

・尿素呼気試験
検査薬(13C-尿素)を使用し、服用前後の呼気を採取してピロリ菌のウレアーゼにより作られる二酸化炭素(13CO2)の量を測定して診断します。一番精度の高い検査法で主流の検査となっています。

また、慢性胃炎の診断には、胃カメラ検査が必要になってきます。胃の粘膜の状態を確認すること、また現在の状況で胃内に異常がないこと確認することが重要になります。
ピロリ菌の診断方法
ヘリコバクター・ピロリ除菌治療

ピロリ菌の除菌療法とは、1種類の「胃酸の分泌を抑える薬」と2種類の「抗菌薬」の合計3剤を同時に1日2回、7日間服用する治療法です。

すべての治療が終了した後、4週間ほど経過してから、ピロリ菌が除菌できたかどうか、もう一度検査する必要があります。この時には、まだ抗体は陰性になってきていないため、尿素呼気試験を行って、効果判定を行います。

胃酸の分泌を抑える薬の進歩によって、1次除菌の成功率はおおよそ90%前後まで上昇してきていることがわかっています。また、1次除菌に失敗してしまっても、2次除菌の成功確率も90%前後と報告されており、全体の99%の方が2回の治療で除菌に成功します。

ピロリ菌と胃がんとの関連性

日本では、胃がんの原因の99%はピロリ菌感染が原因と言われています。現代は下水道の普及や衛生環境の向上によって、日本でのピロリ菌感染率は若い世代ほど減っており、30代以下では約10~20%の感染率になっていますが、1970年代以前に生まれた世代(50代以上)では、感染率は50代で約30%、60代では約50%と高くなっています。ピロリ菌は早期の治療で、がんの発生率をより下げることができます。

その他にも、胃MALTリンパ腫、発性血小板減少性紫斑病、胃ポリープ なども関連が指摘されています。
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